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Sayuri Ishii
古い本とものを通して伝える、
刺しゅうと手仕事の歴史。 bet365 登録
Apr 12, 2019
刺しゅうの魅力や惹かれた理由を聞く連載インタビュー。第十三回目は、北欧を中心に海外や国内の手芸書に特化した古書店を営み、手芸好きや作家からも絶大な信頼を得ているオンラインショップ「古書玉椿」と実店舗「folklora(フォルクローラ)」店主の石井佐祐里さんに登場いただきました。
――手芸に特化した古書店を始めたのは、どのような経緯からだったのでしょうか。
大学卒業後、古いものが好きだったので古本屋に2年ほど勤めていました。私は読書家ではないのですが、本という“もの”が好きで。それから自分でやってみたいと思ったんです。最初はオンラインで始めたのですがお店を持ちたいと考えるようになって、古書店をオープンしました。今のように手芸に特化していた訳ではなく全般のジャンルを扱っていて、いわゆる街の古本屋という感じのお店でしたね。
その中で、お客さまが求めているものの中に手芸というジャンルがあったということと、自分の興味も向くようになったんです。多様な本を扱うのは本当に大変でした。なので自分が好きで、お客さまがもっと喜んでくれるジャンルに進んでいった結果このような形態になりました。
――「旅する本屋」とも謳っていますが、現在の店舗である「folklora」の開店前は地方にお住まいだったと伺いました。
お店をオープンして3年後くらいに、夫が転勤になり四国へ行くことになりました。なので、一旦お店を閉めて地方へ行きました。その間に取り扱うジャンルがどんどん狭まっていったという感じです。4年オンラインショップをやっていたのですが、在庫が多くなってしまったこともあり、やっぱりお店をもう一度やろうかなと思ったんです。
店舗があってもオンラインの方で買われるお客さまはすごく多いです。なので、オンラインを軸にしながら、お店ではワークショップや作家さんの展示などの、本の販売以外で手芸や手づくりを立体的に楽しめるような場にできればいいなと思っています。お店を通していろいろな繋がりができていくことも楽しいです。
――買い付けはどのようにされているのでしょうか。
年に3回ほど、主にヨーロッパへ行きます。コーディネーターさんには頼らず全て自分の足で探しています。手芸本以外にも、現地の布小物なども買い付けてきます。これ(写真上から5番目)は、エストニアの方がつくっている刺しゅう小物ですね。
お店を始めてから、お客さまから探している本について直接お話を聞いて探しに行くことも増えました。ある時、お客さまからポルトガルの刺しゅう本を探していると伺って、現地まで行き図案を買って来たこともあって。探されていたお客さまは、私が買ってきたものをご購入くださって今でも繋がりがあります。お客様に教えて頂くことが本当に多いです。
――海外での手芸本に関して、印象的なエピソードがあればお話を聞かせてください。
東欧とそれ以外の国だと経済状況や歴史的な問題で、同じ時代に出版されていてもものすごく古く見えたりすることがあります。特に、ルーマニアの本できれいな本は見たことがないですね。同年代に印刷されていても趣が全く違う。大変な時代を生き抜いてきたその本がまた日本に来て、と考えると感慨深いですよね。
元々本自体が、日本ほど質が良く良心的な価格で手に入るという位置付けではないと思うんです。特に北欧圏では、趣味としてではなくプレゼントなどの特別な時にしか買わないという方もいらっしゃるそうです。本を贈るという文化が根付いているのだと思いますが、本の見返しのところに名前が書いてあるものが結構あるんです。刺しゅう本を贈るっていいですよね。
――今後挑戦したいと思っていることはありますか。
ここ数年で古い資料を集めているので、復刻のような形で出したいなと思っています。買い付けはすぐに販売する本を買う場でもありますが、そのような貴重な資料を求めて、という意味合いも年々強くなっているんです。古くていい本が埋もれていくのは悲しいですよね。手芸本の価値をもっと高めたい、という思いもあります。マニアックな本が多いので、本当にお好きな方に届けられるような少部数での流通ができたらいいなと思っています。
bet365 登録xt:高山かおり photo:中矢昌行
Sayuri Ishii
大学卒業後古本屋での勤務を経て独立し、オンラインショップ「古書玉椿」の運営を開始。その後実店舗を東京・聖蹟桜ヶ丘にて開店。転居に伴い、一度実店舗は閉店したものの「古書玉椿」は継続し、国内外の手芸に特化した形態へ変更。2018年2月に実店舗となる「folklora(フォルクローラ)」を東京・西調布にオープン。オンラインショップと実店舗という二軸で、手芸の魅力を本を通して伝えている。
「folklora」
東京都調布市上石原1丁目27-34-1
12:00-18:00
日・月定休
https://folklora.wixsite.com/mabet365 登録
刺しゅうを知る、楽しむ、新しいきっかけを
刺しゅうはきっと、普段の生活に関わるもののなかにひとつはあって、一度は触れたことがある、とてもありふれたもの。しかし、時に記憶の奥深くに残ったり、ものに対する想い入れを強くしたりもする、ちょっと特別なものでもあります。
どうして刺しゅうに惹かれたの?
SeeSew projectは、刺しゅうの作品をつくったり、ライフスタイルに取り入れたりしているクリエイターの方々にそんなことを聞き、改めて刺しゅうがもつ魅力を探るために立ち上げたプロジェクトです。幼い頃にお母さんからもらったもの、お子さんに施してあげたもの、親しい人からプレゼントされたもの。あなたの身近にありませんか?SeeSew projectで話をうかがった方々は意外と、何気ないことを機に刺しゅうに魅了されているようです。